2023/03/30 17:00


中底は靴にとって大切な基礎部分です。

デザイン性もこだわりたい。けど、基礎があってこそなのでは?と考えています。
「一生壊れない」なんてのは無理でも「よく履いたなー」と満足できるくらいには履き倒せる靴を作りたいのです。

そこで中底です。
どんな製法の靴だとしても中底を基礎にして靴を作っていきます。
てことは、中底が壊れた場合に中底だけペロっと外して新しくする。なんて訳にはいかない。
ソールを全部外して初めて中底が登場して、ほんでアッパーから中底を外してやっと中底を交換できます。

ソールもそんな減ってないしアッパーも綺麗やのに中底が割れてる!なんてのはいちばん悲しい修理例かなと思います。



ウチで作る靴の中底は大体5〜6ミリ厚くらいの革を使用しています。

靴の仕上がりなどによって厚みは調整します。
また作る人によってもこの材料の選び方はそれぞれに考えがあると思うので、全部が全部おんなじってことはないと思います。


ハンドソーンウェルトの場合は、上の写真のように中底に溝を彫って直接すくい縫いをします。

特にノルべジェーゼ製法やカデノン製法の靴を作る場合は、すくい縫いの針をサイドに出してチェーンステッチを縫います。
その為に分厚い中底革が必要となります。


靴のサイズ感が大きく変動しないのもこの中底のおかげです。
中底が沈むというよりは、この分厚い革が足の形に馴染んでくるような感覚だと思います。
なので、履けば履くほど馴染むのです。


よく見るグッドイヤーウェルトの中底です。厚みは約2〜3ミリくらい。
特徴的なリブテープが先ほどの中底の溝の代わりをしてくれるので、ミシンでガーっと縫える訳です。
大量生産にはベリーナイスアイデアだと思います。

よくある修理としては、このリブテープがぺろっと剥がれてしまうパターンです。
靴の内部で起きていることなので直接は見えないのですが、履き心地が変わったり他の部分に負荷がかかって破損する場合もあります。
中底が割れている場合もありますが、経年劣化としては仕方ないことかもしれませんね。

また、上の写真では剥がした後なのですが、このリブテープで立ち上げた分の段差にコルクを埋めます。
コルクはクッションみたいにフカフカしていますので、履いているうちにだんだんと沈んできてサイズ感がちょっと大きくなったような感じになります。



最後に。先ほどの中底は革でしたが、これはボードです。とても頑丈な紙です。厚みは約1.5ミリくらい。
コレは水濡れに弱いので雨の日は要注意。

個人的には足当たりがひんやりするような、蒸れやすいような気もします。個人差あると思いますが。



ちょうど色んな中底が集まったので書いてみました。
どれがいいとかわるいとかではないと思います。知った上で選べばいいと思います。


ありがとうございましたー